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社長通信

第111号 健康な組織体

1997年06月号

最近、老舗企業や大手証券会社、銀行に総会屋が絡んだ不祥事が相次いで起こりました。いずれもトップが知らないところで起こったようですが、今回はとかげのしっぽ切りでは納まりそうにない様相です。日本の企業は、会社という組織を守るため、否、自分を犠牲にすることで上司を守り、ひいては組織を守ることが企業戦士の義務でした。そういう行動がサラリーマンの鏡でもありました。そして、一件落着となります。われわれは、こうした解決法を日本的企業風土として仕方なく看過してきました。

 総会屋に利益を供与して質問を封じ、株主総会を短時間で終わらせる会社が多くあります。株主総会の時間が短いほど、総務担当は有能であると評価される会社が、フェアであるわけがありません。しかしながら、大手企業になればなるほど、長時間に及ぶ株主総会は不名誉とされる風潮があり、マスコミにもそれを可としてほめる悪い習慣があります。

 選挙の投票に行かない、株主総会に出ない等々、参加権を持ちながら権利放棄する人が多いのは、すべてが始まる前から決まっていて、何を言っても無駄だとの諦めがあるからに相違ありません。実際、何かを質問したくても、会場の前列に陣取った社員株主が、間髪を入れず「異議なし」と合唱して質問を封じます。企業間の株式の持ち合いは株主の意見封じであり、個人株主が何かを提案したくても届かないことだけは確かです。持ち合いをしている企業同士が、お互いに何も言わないことが暗黙のルールとなっているサイレント総会ですから、どんな社長にでも議長は務まります。したがって、大企業になればなるほど派閥争いが多いのは、能力とは関係なく、主流に付くことで出世が約束され、社長への道が開けるからのように思います。 

 日本には、あうんの呼吸、一を聞いて十を知る、腹を読む、忖度する(他人の気持を推し量ること)等、相手の気持を慮って行動することが、美徳とされています。それができると上司には気の利く愛い奴となり、引き立てられもします。また、よしなに、適当に、任せる等、命令しにくいことを曖昧な表現によって、相手の責任でやらせる言葉使いもあります。これは、上司の責任逃れ以外の何物でもありませんが、それを斟酌しない部下は疎んじられる結果となります。上下関係はなくとも、相手の立場、人の和、対人関係や人脈・贔屓を重視するあまり、自分が良い子でいたい本心から不正をも辞さない人間が、話のわかるできる奴として珍重され、出世できたのが右肩上がり時代の組織であったと思います。結局、少しくらいなら時間が経てば何とかなるだろうと始めた不正が、墓穴を掘る結果となります。一度染めた不正は、裏社会の人間にとっては鬼の首を取ったも同然で、それがエスカレートするのは時間の問題です。更に悪いことに、担当が代わっても、後任は不正までを引き継ぐこととなり、自分の任期中は表沙汰にならないように更なる不正を重ね、解決を先送りして問題をより大きくすることになります。

 事の大小はあるにせよ、役所の空出張等も含めて、日本ではどこの組織にも不正が存在していることは否めません。この日本的慣習や常識はグローバルスタンダード(世界標準)とは相容れないものです。世界の一員として生きていこうとしても、このままでは日本は滅びるしかありません。企業も役所も、いち早く外科手術を行ない、健康な組織体に生まれ変わってこそ、21世紀に生き残れます。

 当社は、何でも隠さずに伝えることを企業文化としてきました。これからはさらにデイスクローズしなければなりません。万が一当社で不正が発生した場合、それが私に伝わってこなければ大変な問題です。ぼやのうちに火を消せば大事には至りません。30年も社長を続けていますと、大概の問題に解決への勘が働きます。それが経験というものです。どんなことでも隠さずに報告して下さい。

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