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社長通信

第167号 遺伝子

2002年01月号

 戦後50年間の驚異的な経済発展の中で、我々は星の数ほどの問題を体験してきました。しかし、如何なる問題も、単に拡大した器の隅に埋没しただけなのに、時が解決したという錯覚を我々は持っていないでしょうか。それは無意識に、経済(収入)の拡大⇒予算(支出)の拡大⇒組織(人)の拡大を目的化するなかで、経済合理性は二の次になり、無駄を許し甘えの構造を生むことに繋がったと思うのです。組織に依存し、その中で自己実現や成功を目指すために、組織防衛の名のもと、問題には目を伏せて、時の流れ(人の噂も75日という諺があります)にその解決を委ねてきたと思うのです。組織の自己保身は所詮、個人の保身です。赤信号みんなで渡れば怖くないとばかり、政治家は国益より地元益、財界は自社や業界益、官界は省益に走りながら、所詮は自分の利害の為に、本質的問題、即ち構造的問題に目を伏せてきたのではないでしょうか。

 役人の使いこみ事件、例えば青森県住宅供給公社員による14億円の使い込みが、8年間も露見しなかったということは、周りの者が見て見ぬ振りをしていたとしか考えられません。半分はチリの嫁さんに送ったとは云え、一介の役人が、7億もの大金を豪遊に使ったのが分からなかったと云うのは不自然すぎます。薄々分かっていながら、自分のお金じゃないのだから、担当が違えば敢えて火中の栗を拾うこともあるまいというのが、一般的日本人の感覚、体質、遺伝子ではないでしょうか。ここには一片の正義も見られません。


 最近聞いた法話の中に「自愛」と言う言葉あります。次の話は映画では表現されていない実話とのこと。豪華客船タイタニック号が大西洋上で氷山に衝突して沈没した時、乗客はわれ先にとボートに乗り移りました。そのボートが定員オーバーで転覆すると、転覆したボートの上にはい上がった人々が、これ以上は無理と知るやオールで自分の女房・子供でさえも叩き落したということです。また、大泥棒石川五右衛門親子が釜茹での刑に処せられたとき、初めは頭の上に子供を押し上げていたが、熱くなってきたらその子供を足の下に敷いたということです。この様に、人間にとって一番可愛いいのは自分ということです。命に関わる時になると、人間ってこれほど浅ましくもなるという話ですが、せめて正義感だけは無くしたくないものです。無関心は、関わりたくない心であり、関わることにより煩わしさや迷惑を被る=損をするからと言うのは、自分本位の利己主義です。その利己主義が社会や組織の高度成長期の問題に蓋をし、10年以上も放置したことが構造的問題と化し、それがこの大不況の原因であると言えばうがち過ぎでしょうか。

 日本人は和を尊ぶと言いますが、イエス・ノーをはっきり言わず「足して二で割る」解決により問題の本質を曖昧にしたり、「長いものには巻かれる」ことが好き(?)なことを考えると、自己主張が嫌いな民族です。ところがその根底には、その意見には反対だが、自分の意見に反対されると困るから、賛成しておこうとか、反対すると仲間はずれになるからと言った考えが潜んでいないでしょうか。我々が契約を結ぶとき、最後に必ず入れるのが「本契約に定めのない事項に問題が生じた場合は話し合いによって解決する」の文章です。至極当たり前のことに思いますが、日本人同士なら阿吽(アウン)の呼吸で解決するのでしょうが、相手が外国人(アメリカ人に限りません)の場合は、契約に互恵・互助と云ったお互い様の思想がありません。彼らと我々の遺伝子(思想)は違うのです。彼等の遺伝子は強いもの勝ちですから、契約書のウイークポイントを突かれてやられ損となるばかりです。日本の悪しき慣習・習慣だけは根底から変え、彼等と同じ思想的土俵で、戦略を持って戦わないと、我が国はアメリカの属国となり兼ねないと危惧します。

 アメリカは毎年莫大な貿易赤字を重ねていますが、流出したドルは米国債を筆頭とする債券を購入することにより、殆どがアメリカに還流しています。即ち我々は汗をかいてドルを稼ぎ、稼いだドルをアメリカに貸すと、その金で金融技術(頭脳)を駆使して日本を買い叩く、と言う構図を何とかしないとフラストレーションは溜まる一方です。

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