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社長通信

第168号 教育と躾

2001年02月号

今、未曾有の不況と失業とで世の中が騒然としている。しかし太平洋戦争後の不況時には日本人の殆どが失業状態であり、餓死者も続出したことを考えると、温室から急に寒風の戸外に放り出されたために、単に震え上がっているだけ、とも言えるのではなかろうか。我々は高度成長と言われた豊穣の時代を長く送り、心身ともに脆弱になってしまったことは否めない。温室育ちのひ弱な身体を急に寒風にさらせば、肺炎になるに決まっている。元気なのは、若者か、力のある者だけである。若者と言っても、フリーターに代表されるパラサイトのことを言っているのではない。しっかりと勉強をし、確固たる人生観と志を持って頑張っている若者のことである。


 パラサイトが世の中に溢れているのは、一体誰の責任なのだろうか。私はパラサイトを生んだのは、回りの大人であると思う。子供の自由を尊重する余り、躾をお座なりにしてきたとは言えないだろうか。小学生が数万円のお年玉を貰うことが、果たして子供の躾にプラスとなるだろうか。働くことこそが人間の義務であることを子供にしっかり教えてきただろうか。親の豊かさ故に、子供が働く年齢になっても、食事代や住居代を徴収することなく、その収入を自由にさせ過ぎてきたことは無かっただろうか。お金は「貰うもの」と思ってしまうと終わりである。


 今月初めに、私の学生時代の友人の18歳になる息子が当社を訪ねてきた。見ると、名刺には代表取締役とある。彼は17歳の時、資本金1億数千万円を集めて会社を設立し、以来1年ちょっとが過ぎたと言う。2年ほど前から、3D画像の全く新しい製作システムを考え、1年半をかけて設計を完了し、今回はその営業にお邪魔したとのこと。18歳では何の経験も専門の教育(大学は行っていません)も受けていないわけだから、たいしたことはなかろうとタカをくくって聞いたのです。ところが、デモ版ではありますが、モバイルを使っての1時間半に渡るプレゼンを、私と少しは技術が分かる3人のスタッフが呑み込まれる様に聞く羽目になってしまいました。18歳・資本金・技術力等々、どれ一つ取っても驚きなのに、おっさん相手に、息もつかせぬ流暢なプレゼン能力にも兜を脱ぎました。


 彼は、純粋の日本人ながら、大阪のアメリカンスクールで学んだと言う。パソコン教育は受けたと思うが、システム設計は習っていない筈。暗記より学習すること、また大企業に就職するより起業することに価値を見出す教育を受けているから、17歳で会社を設立し、1年後には西新宿の高層ビルに事務所を構え、30人の社員を抱える規模になったのです。数年前、弁舌爽やかなマイクロソフトのビル・ゲイツの講演を聴きましたが、ビルと同じく、天才の片鱗を感じました。因みに会社名はヤッパ。「やっぱり」の「やっぱ」ですって。一度覚えたら忘れない名前でしょうって。高校卒業後シリコンバレーに行き、上京して1年余り、未だ東京は西も東も分からない筈。度胸も一流のようです。


 日本の学校にこういう若者を生み出す教育制度であったらば、パラサイトが生まれることは無いと思います。画一的な教育(金太郎飴教育)は、子供の個性や能力に関係無く、知識だけを詰め込むことに時間を費やしています。これは自分で考えたり、学ぶ姿勢を疎かにする結果を招き、ついには、「教えて貰ってないことは分からない」、「分からないことは教えていないほうが悪い」と言う甘えの構造を作ってしまったのです。我が国が先進国となった今、もはや外国から導入する技術は無くなってしまいました。これからは、知識を生かす教育、天才を生かす教育が必要となります。


 今までみんなが中流意識を持てたのは、富の配分が社会主義制度のように行われてきたからです。そのために、毎年税収の60%以上の国債を発行しつづけ、ついに発行総額は700兆円近くになってしまったのです。その結果の大量の中産階級なのです。稼がないと生きられないことを忘れた日本人に、働かないと食べられませんよと教えるには、この不況は必要悪かもしれません。

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