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社長通信

第184号 修羅場

2003年06月号

 先月号では「失敗」と言うタイトルで、設立1年に満たない子会社のマッチングシステムズ社(MSI社)の閉鎖を決定し、私の創業以来37年間の退職金を返上することで、その責任を明確にすることを書きました。今期も売上高の急上昇を見込めない以上、MSI社による赤字を前期だけの影響に留める為に、即ち連結決算対象から同社を外すために、その閉鎖を決断したわけです。MSI社のe-バイトは他に例を見ない全く新しいビジネスモデルですから、継続すれば成功したかもしれません。ましてITバブル崩壊以前なら、成功のチャンスは大きかったでしょう。「事業は継続」と言いますが、e-バイトシステムの良し悪しの結果が未だ出ていない段階でやめる決断をし、それを「失敗」として公表した姿勢と責任の取り方に対し、何人かの方から逆に賞賛の言葉をいただきましたが、経営者として事業見通しの甘さがあったことを深く反省しています。

 思い返せば、社長業37年間にこうした決断を何度と無く淡々と行なってきました。大きな決断は、自分の名誉とか損得を計算すると、しにくいものです。ここまで頑張ったんだからもう少し頑張ろうとか、もう少しやって見ないと結果は分らないとか、かっこ悪いから他の理由を付けるとかに、余りこだわりません。私心を捨てて、「今、会社にとって何が一番大事なのか」が判断基準となります。この様な状況を修羅場と言うのでしょうが、失敗の原因を検証し、反省をしっかり行い、無私の状態で行う決断が、結局は会社も自分も一番守ることになることです。

 MSI社を閉鎖するという決断をした後は気持が吹っ切れて、今はメモリアル事業に全精力を投入、当社を早急に100億円企業にするための戦略を練っています。幸いなことに、お墓や葬儀は今のところ国際競争力の有無とは関係ありませんし、特に安くて便利な本郷式(カード式)堂内陵墓は現代人の志向にピッタリで、このデフレ下でも売れ続けています。これと「愛彩花葬」を事業の中心に据えて100億円を目指そうと言うわけです。

 今、我が国は先の見えないデフレの嵐に巻き込まれています。13年前、ベルリンの壁が壊れたのをきっかけに、ソ連が崩壊し、共産(計画経済)圏が資本主義(市場経済)圏に組み込まれることになりました。中国は相変わらず社会主義体制のままですが、すでに経済は資本主義そのものです。その結果、資本主義圏の人口は突然2倍になりました。特に日本の10倍、13億人の人口を抱える中国は、賃金が安い上に、職に就くことのできる人は日本人以上に頭が良く、勤勉で、すぐに技術を習得してしまいます。さらに目的を持って頑張りますから、良い物を安く作れて当たり前です。また、先進国と彼らの収入格差は20倍も30倍もあります。その安い賃金を求めて、日米欧のメーカーは中国や東南アジアに工場を移しました。そんな発展途上国からの安い製品が怒涛の如く入ってきますから、高い人件費ゆえの高コスト体質の日本で作る製品が、彼らとの価格競争にかなうわけがありません。無限ともいえる労働供給力によって作られる安い製品が、我が国の需給バランスを著しく崩し、ついにはデフレが止まらなくなってしまったのです。

 特に建設、金融及び流通などの、バブル崩壊まで国際競争にさらされることの少なかった業界は不況業種の典型となっています。こうした業界はいずれも古い歴史の会社が多いのですが、何時の間にか殿様商売に堕してしまい、お客様の顔が見えなくなったようです。

 あるセミナー後のパーティーで、司会者(某一流企業社員)が数百人の招待客を前にして、「本日は**取締役がお忙しい中をこのパーティーのためにわざわざお越し下さいました。ひとこと皆さまにご挨拶をお願い致します。」と自分の上司を紹介したことを思い出しました。上司にあげつらったこの言葉に、私はギョッとしました。彼の言葉とそれが当然のことのように壇上に向かう役員を見て、この会社は構造不況どころか、組織疲労に陥っているなと感じたものです。お客様ではなく自分の上ばかり見ていると、この司会者の様になってしまうのです。未だ年功序列の濃厚なこんな会社も早晩迎えるであろう修羅場を彼らは果たして乗り越えられるだろうかと、ふと心配になりました。社内政治やゴマすりの上手な社員が出世できたのは、過去のことと自覚しないと時代に取り残されます。

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