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社長通信

第186号 変化

2003年08月号

 8月6日から10日まで、ソウルと中国の福建省に出張しました。10数年振りに見るソウルの街は一変していて、かつて私が抱いていた「発展途上国」というイメージは全く無くなっていました。車の洪水は日本以上だし、高層ビルが立ち並び、東京と何ら変わるところがありません。

 また、25年ほど前に最初に韓国を訪れときは、日本からの観光客と言えば、中年男性の団体がほとんどで、女性客など皆無でした。しかし、今や大部分が若い女性となっているようです。彼女たちの旅行の目的もショッピングとグルメだそうで、隔世の感がします。

 現地の物価はかなり安いようですが、大学卒の初任給が10万円と言いますから、人々の収入は日本の約半分と考えてよいでしょう。しかし、街を歩いていると日本に追いつき追い越せというエネルギーの凄まじさをひしひしと感じました。それは、日本に対するライバル意識というより、敵愾心に近いもののように、私には思えました。この対抗心と勤労意欲、それに加えて強固な民族意識が今後も継続するならば、日本に追いつくのも時間の問題だと思います。

 日本を出てから3日目にソウルから中国のアモイに飛びました。アモイは昨年の3月にも行きましたのでほとんど変わりがないだろうと思っていましたが、空港から市内への道路の両側は、ヨーロッパ風の瀟洒なマンションが林立し、社会主義中国のイメージとは不似合いな資本主義的匂いが横溢しています。

 聞くところによると年収1千万円クラスの高給取りもいるそうですし、その半分程度の収入の人もかなりいるそうです。現にレストランを覗けば、家族連れが高価な中華料理を食べている姿を見かけます。また、400万円もするホンダのアコードが飛ぶように売れていることを聞くと、その話もまんざら嘘ではなさそうです。しかし、その一方で、月収1万円(年収10万円台)にも満たない人も大勢いて、貧富の差は日本と比べ様もありません。

 ここでは、何でも金、金、金の世界で、昔日本がそうであったように、未だ物質的な豊かさが幸福と思う人が大多数です。泥棒も多いらしく、1階から最上階まで、全ての窓に鉄格子がはめてあるアパートもあって、初めて見る人は牢屋と勘違いしそうです。さらに、昼間でも一人歩きをするなと通訳に注意されたほどに、治安が悪くなっています。何しろ日本の約10倍の人口がある国ですから、日本の10倍の善人も悪人もいる計算になります。

 初めて中国に行った30年前は、ホテルの部屋のドアを開けたまま外出しても、何一つ無くなることがありませんでした。ところが今同じことをすれば、全てのものが無くなるでしょう。

 その頃は、全ての人が緑系色の人民服を着ており、女性は化粧もせずオカッパ頭でしたので、全く色気の無い国だなあと思った記憶があります。しかし、今の中国女性は、日本人の容姿に何ら変わるところがありません。ウエイトレスは、下着が見えるかと思うほどの大きなスリットが両サイドに入った扇情的なチャイナドレスを着ていて、その魅力を振りまいています。ホテルのロビーの薄暗い一角には、それらしい女性がたむろしていることもあり、30年前とは隔世の感があリます。

 国が栄えるということは、国民も物質的に豊かになると言うことですが、その一方で豊かさに見放された人達も当然出ます。特に資本主義社会は自由な活動ができる市場経済で、強い者だけが勝ち残る世界ですから、貧富の差も当然大きくなります。今の中国経済を見ると、まさに資本主義そのものです。

 我々日本人は今、豊かさとは何ぞやとの疑問に直面しています。
 物質的に満たされた現代のキーワードは、癒し・自己責任・個性と言われています。個人や個性を強調することは、何事も自分で考え、判断し、行動せよと言うことですから、没個性で組織が第一として育ってきた旧世代は、新世代の価値観を理解できない、或いは新時代への変化について行けないといった戸惑いが、バブル崩壊後の「失われた10年」と言われる混乱を招いた原因ではないでしょうか。

 先の見えない社会情勢のなかで、このままでは日本は駄目になる、どういう方向が良いかは分らないが、とにかく社会も企業も個人も変えねばならない、変わって欲しいという国民の切実な願望が、「改革無くして成長無し」のお題目だけの小泉内閣を支えていると言っても過言ではありません。しかし、幸福過ぎる日本人は急激な変化を好みませんから、先ずは為政者や経営者自身が本質的に変わらないと、変わらないように思えてなりません。

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