トップページ社長通信第214号 下層

社長通信

第214号 下層

2005年12月号

 少子化が問題となって、久しくなりました。その原因の一つは、結婚しない人たちが増えたことにあると思います。確かに、村社会が壊れ、核家族化が進んだ現代では、独身であることに対して、周りからとやかく言われることも少なくなりました。また、独身生活をそれなりに快適に送れる社会環境が整っていることもその要因でしょう。さらに、子供の数が少なくなって、親が子供をペットと同じように見なして、手元から放したがらないことも非婚化の一因でしょう。
 
同時に、深刻な社会問題として、現役世代の人たちの金持ちと貧乏の二極化が浮上してきました。その原因は、勤労者の賃金の、年功序列制度から成果報酬制度への移行だと言われていますが、それは、たとえ同期であっても出来る人と出来ない人との間に賃金差格をつけることにほかなりません。出来る人に多くの報酬を払えば、その分を出来ない人から減額しないと収支バランスがとれない。結果として、収入格差による階層が生まれます。嫌な言葉ですが、上流・中流・下流の誕生です。六本木ヒルズのオフイス棟には典型的な上・中流社会のビジネスマンやウーマンが闊歩しており、すぐ近くの渋谷には、それほどの収入を得ているとは思えない、いわゆる下流社会に生きる若者たちがたむろしています。
 
バブルが弾けるまでは、日本人の大半は、年功制度によって収入が毎年自然に増え、夢を持って生きられたからこそ、わが国の風潮として、上昇志向が支配的でした。彼らは必然的に中流以上の意識を持つことが出来、当然のように結婚し、家庭を持ち、子供を作り、マイホームを持つことが生甲斐であり、目標でした。
 
しかし、そのような夢を誰もが持ち得ない時代にあって、私の知人である西武文理大学講師の名本光男さんのように、勤勉に働き続けることを否定するような考え方をする人もでてきています。彼の著書「ぐうたら学入門」では、「今」は勤勉に働いても、この先に幸福があるとは決して言えない時代だから、勤勉に働くことが意味を失ったばかりか、自分の生活に悪影響さえももたらしかねないと言う説を展開しています。彼は未だ40歳代半ば。彼のような人生観を持つ人たちが増えつつあるのは、生まれたときから欲しいものは全て揃っていて、本当の貧しさを経験していないからでしょう。
 
未だに物質的に満たされていない発展途上国の人たちは、日々豊かな生活を目指して、勉強し、勤勉に働いています。先進国の日本にあっても、一部の上昇志向の人たちは、勉強を続け、勤勉に働き、研鑽努力し、更なる高給とキャリアアップを目指し、転職を重ね、凄まじい競争を繰り広げているのも事実です。
 
ところが、欧米の、特にアングロサクソンの社会は、人種・宗教・家柄・学歴・収入・居住地域等で階層が歴史的に固定してしまっています。上流社会の人たちは自分たちだけの社会を形成し、決して他の階層の社会に関わることは無いと言います。その結果、社会的差別を受けてきた、下層階級の人々-多くはイスラム移民(二世、三世も含まれる)-の不満が蓄積され、ロンドンの地下鉄の自爆テロやフランスの自動車焼き討ち騒乱が起こったと言われています。日本は人種や宗教による差別がない分、恵まれていると言わざるを得ません。
 
資源の無い日本は、勤勉さこそが唯一の資源ではないでしょうか。セレブ(セレブリティの略で、本来は著名人や有名人を意味します)になることが目標でなくとも、勤勉であることは日本人の宿命であり、特性と思うのです。ぐうたらな生活からは、労働・学習・遊びの意欲は決して生まれません。また、ぐうたらな人は結婚して相手を幸せにする自信も持てないから、一人ぼっちの生涯を送ることになるでしょう。向上したいという意欲が無い人の所得が増えることはあり得ないし、それは生活能力が無いことを意味します。そして、生活基盤がないわけですから、結婚もできません。パラサイトを続けるとしても、いずれ親が亡くなれば、少ない収入しかないわけですから、高齢化した時、自己責任だから仕方が無いとは言え、社会のお荷物になりかねないことを覚悟しなければなりません。

会社情報
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-300-100 資料請求・お問い合わせ
ページの先頭へ