トップページ社長通信第216号 拝金主義

社長通信

第216号 拝金主義

2006年02月号

  最近、行き過ぎた市場主義の弊害からか、ヒューザー、ライブドア、東横ホテルなどの企業が信じられないような問題を起こしています。問題の原点は全て利益第一主義にあるように思えてなりません。儲かれば何をやっても構わない、お金があれば何でも買えると錯覚して、これらの事件を起こした社長たちには、経営者としての矜持の欠片も感じられません。
 
 私自身、社長の義務と責任とは一体何だろうと省みてみると、(1)勤労者に良い職場を提供し、(2)消費者には良い商品とサービスを提供する、(3)納税をする、(4)投資家に継続して配当すること、以って国家・国民の福利と発展に寄与することであると思います。幾ら利益を出しても、社会から指弾を受けるような不正を行う企業では存在意義はありません。

  株式市場では、法律に違反しなければ、何をやっても許されるようですが、法律すれすれの脱法行為を絶えずやっていると、いつしか感覚が麻痺し、ライブドアのような事件を引き起こしてしまうのです。頭のいいホリエモンのことですから、論理的に自分が正しいと思い込まねば、あのような不正はできなかったと思います。まさに、自己陶酔に陥って自分を見失った拝金主義者の末路を見るようです。

 しかし、世間もずいぶんと歪んでいるようです。ライブドアの役員4人が逮捕されて、その株価が連日のように暴落を繰り返したとき、「なぜ堀江を逮捕したんだ。お前らのお陰で損をした」と怒りの電話が検察庁に殺到したそうです。普通なら検察は良くやったというのが当たり前なのですが、ライブドアの株主は20万人以上いるそうですから、今回の摘発で大損をした人も多かったのでしょう。まともに考えれば、怒る矛先が違うこと位、すぐにわかるようなものですが、なかなかわからない。彼らは、ことの正邪より、自分にとって損か得かのみで物事を判断しているから、検察に怒りをぶつけることになったのです。これが投資家の感覚なら恐ろしいことです。
 
  最近、『国家の品格』というベストセラーを読みましたが、日本人から「情緒と形」を取り戻さねば国が滅びるとあります。上記の3つの会社の社長には、情緒などこれっぽっちも見られません。私もかつて「Mr.合理主義」とあだ名されもしましたから、大きな顔はできませんが、情緒とは、懐かしさとかものの哀れといった日本人が古来から持っている特質であったはずです。形とは武士道精神を基本とした伝統です。一方、論理と合理を最善とした西欧型市場主義は、いみじくもホリエモンが「株式市場には悪賢い奴がいるから騙されないように注意しないと駄目ですよ」と言っていたような、弱肉強食のジャングル社会です。今回のライブドア事件では、まさしく市場主義の悪弊が噴出したわけで、その典型が株式の時価総額(株価×発行株数)を絶対的企業価値とすることです。

当社の株は、約1年ほどの間に、時価総額が約3倍になりましたが、どのくらいの株価が妥当なのか自分でも分かりません。上場して今月20日で8年になりましたが、8年前には、時価総額=企業価値という物指は重視されませんでした。昨今では、含み益の大きな土地などを有効活用していない株価の低い会社が、密かに買い占められ、もっと有効活用して企業価値を高めよと要求されるケースが増えています。ところが、そうした買収資金を動かす人の多くは、株を取得した後に、株価が上がれば売るのですから、会社の発展に寄与しようなどとは思っていない。そんな輩に経営云々を言われたくないものです。

当社の場合、長期保有の株主さんが多く、株価が低迷していたときもジッと我慢して所有してくれました。こうした株主さんにようやく報いることができたのが、昨夏の株式の2分割です。私は25年前より配当性向30%以上を約束してきました。更に新しい株価で購入された株主さんにも、銀行の借り入れ利息以上の利回りになる配当をしたいというのが私の気持ちです。10年或いは20年前からの株主様は、当社のファンとして長い目で見ていただていることがひしひしと感じられます。「株主優待」に明記はしていませんが、20年前よりお歳暮・お中元をお贈りしているのはそんな株主様の期待に応えたいが為です。

 いずれにしても、社員、お取引先、お客様、そして株主様などから、当社と関わりを持って良かったと言われる会社であり続けたいと思います。その為には、利益もさることながら、私自身が徳と情緒のある人間にならねばと肝に銘じています。

会社情報
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-300-100 資料請求・お問い合わせ
ページの先頭へ