トップページ社長通信第220号 訪朝

社長通信

第220号 訪朝

2006年06月号

 行ってみたいが怖い国、不気味な国、北朝鮮。5月22日から27日まで「霊通寺復元落慶法要聖地巡礼訪朝団」の一員として、その北朝鮮へ行ってきました。霊通寺は、軍事境界線上(38度線)の板門店から23kmの山奥にあって、今から約900年前に、中国で天台教学を修めた大覚国師義天という和尚が、高麗天台宗の開祖として修行し、没したところです。その霊通寺やお墓が復元されました。それを記念して、今回、30余名のお坊さんも含めて80名の巡礼訪朝団が組織され、その実行副委員長の友達から石材業界の代表として参加を誘われたのでした。参加申し込みをしたとき、旅費は高々20万円位だろうと思っていたところ、請求書は何と一人38万円のびっくり価格。

 霊通寺はソウルから約80kmの距離に位置するので、韓国から直接行くことが出来れば、車で1時間ほどの距離です。しかし、今は北京か瀋陽経由でしか行けません。その上、北京から北朝鮮に行く飛行機は、火曜と金曜日の週2便しかないので、ピョンヤンに4泊もしなければなりません。

 22日(月曜日)、日本全国から集まった参加者は、まず、北京のホテルで結団式を行いました。名誉団長は相国寺・金閣寺・銀閣寺管長の有馬頼底師、団長は天台宗前宗務総長西郊良光師他、天台宗と臨済宗のお坊さんとその奥様が団員の半分という錚々たるメンバーです。北朝鮮側の招請団体は朝鮮対外文化交流連絡協会という政府組織でした。

 翌23日、ジェットエンジンからキーキーと異音のするロシア製の高麗航空152便(ボーイング727クラス)に乗り、午後3時ピョンヤンに無事着きました。飛行機の車輪が地面に着いたとき、心の中で思わず手を叩いてしまいました。

 離着陸が週に数便しかない空港ロビーは、日本の島しょ部のような寂しさでした。また、天井の貧相な照明のために、日本ではあり得ないほどの暗さです。全員の入国審査に2時間ほどかかったあげくに、パスポートと携帯電話を取り上げられてしまいました。不思議なもので、命の次に大切なパスポートが手元に無いと、北朝鮮や将軍様の悪口を言うなどという気持ちは一瞬にして失せてしまいます。

 ターミナルビルの外に出ると、20年位前の日産製の古い大型バス3台と、古い型の乗用車が10台ほど停まっているだけでした。まるで田舎の駅前広場の感じです。我々はそのバス3台にそれぞれ20数名ずつ、名誉団長以下VIPは2世代前の古いベンツ4台に分乗して、まずは金日成主席の巨大な銅像を見学。その日はそれだけで終わりです。ホテルはピョンヤン駅から直ぐの高麗ホテルという高級(?)ホテルで、部屋の設備は日本のそれとあまり差がありません。テレビはNHKのBS放送が見られるので、長い夜も退屈しません。27階の部屋の窓から見えるアパート(5~20階建て)の部屋の明かりは殆んど見えません。勿論、街灯も信号もないので、外は漆黒の闇です。ホテルのディナーは、私たちが普段家庭で食べる食事程度の内容で、とても美味しいと言うレベルではありませんが、北朝鮮としては精いっぱいのご馳走と思われました。

 翌日は郊外の寺院参拝でした。バスには男のガイド(?)が3人ずつ乗っており、我々がグループ行動からはみ出ないように目を光らせています。滞在中の5日間は全て高麗ホテルに泊まりましたが、朝6時の散歩でさえ、ガイドの先導の元に歩かされました。彼らにその理由を尋ねると、「お客様に事故があったら首になりますから」と言います。

 夜間はホテルの出入り口、全てに鍵がかかっていて、朝6時まではホテルから一歩も出られません。まるで牢屋です。また、今回の旅行で、市民の生活を垣間見ることを楽しみにしていましたが、観光や買い物などで案内してくれる場所に市民が居た例しがありません。どうやら、市民との接触をさせないためのようでした。ピョンヤン市内はもとより、霊通寺への200キロの道路も、片側2~3車線もありそうな幅(車線がありません)なのに、歩行者と自転車の他に目にするのはオンボロのバス、それに時々黒塗りの乗用車だけで、トラックを殆んど見掛けなかったのは輸送する物資が無いからでしょうか。たまにトラック(ボンネットタイプ)が走っていても、荷物の代わりに人が乗っていたりします。何処に行っても大きな商店や会社、そして工場などは見当たりません。連れていかれたみやげ物店でも、民芸品、朝鮮人参、白磁、刺繍品、絵画の他には目立った物が無く、50年前の日本を見るようでした。しかし、市民は飢えからは解放された感じで、更に救われたのは意外と明るく元気な様子だったことです。

 それでも滞在5日目に、綺麗な空気と静寂に満ちた北朝鮮を発って、汚濁した空と喧騒の北京に着いた時、ホッとしたのは何故でしょうか。

会社情報
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-300-100 資料請求・お問い合わせ
ページの先頭へ