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社長通信

第236号 ギャップ

2007年10月号

 今、時津風部屋の若手力士死亡事件や横綱朝青龍を巡って、日本相撲協会が大きく揺れています。
朝青龍事件の発端は、モンゴル出身の彼が骨折という診断書を相撲協会に提出し、地方巡業を欠場したことでした。ところが、朝青龍は、そのときモンゴルへ無断で帰国し、病気の筈なのに彼の地でサッカーに興じていたことが明るみに出たのです。
 そこで、相撲協会は、彼に出場停止2場所、その間、自宅・相撲部屋・病院以外への外出禁止、および4ヶ月間の減俸30%等のペナルティーを科しました。そしてマスコミは、彼がその非を認めず、謝りもしないと非難しました。
 
 私は、常々、彼の勝ったときの得意げな表情が生意気で傲慢な感じがして、どうも好きになれませんでした。しかし、考えてみるに、勝負の世界に生きる彼にとって、その得意げな態度は勝利に酔っていることであり、酔うことが次の戦いへのモチベーションだったのかもしれないのです。
世界史上希に見る大国、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンを生んだモンゴルでは、朝青龍は日本の相撲界を征服した覇者として、ハーンに次ぐ現代の大英雄です。その英雄に対して不遜な態度をとる日本人を、彼らは許せない気持ちでいることでしょう。なぜならば、勝負師が勝負の場に出ることを禁じられるということは、大変厳しい罰を受けたということですから、それでこの件は終わりの筈。それなのにその上に謝れというマスコミやファンの声を、モンゴルの人たちは理解できないのではないかと思われるからです。
 
 お相撲さんは、財団法人日本相撲協会が雇用者で、そこから月給をもらっている職員(サラリーマン)なのです。サラリーマンならば、当然労働基準法が適用されます。朝青龍以外のお相撲さんが巡業をサボったとしても、これほどのバッシングを受けなかったでしょう。しかし、彼は横綱なので品格も要求されてしまうのです。
 ところが、そもそも彼は、日本の相撲文化に貢献しようとやってきた訳ではありません。家族と別れ、遠いモンゴルから日本へ出稼ぎに来たのです。彼は単に稼げるから日本に来たのですから、彼の勝者としてのプライドを心底満足させてくれるところはモンゴルだけなのです。心を癒してくれるところもモンゴルの筈です。

 外国人力士は弱くなれば協会の役員として残ることもありません。勝たねば解雇があるだけです。体に故障があっては、ガチンコ(真剣勝負)はできません。
骨折は嘘であったかも知れませんが、異国の伝統社会のなかでの生活に精神的に疲れていたことは想像に難くありません。彼に、故郷へ帰って家族に会いたい気持ちがあっても当然です。
 病気療養の休暇が認められて帰国し、軽いサッカーに興じたことが大問題になってしまったのですが、横綱を張り続けるためには、心身をベストの状態にキープする義務と責任があります。彼はそれを実行しただけではないでしょうか。そのような彼の真意を私たちはなかなか理解することができません。なぜなら彼の育ってきた文化と私たちの文化とはそもそも大きく異なるからです。

 近年、頭の良い白人達がITという新兵器(金融技術)を使って、バブル崩壊で意気消沈した上に、動作の鈍い農耕民族の日本人を攻め立てました。特に欧米の投資ファンド(基金・資金)は、日本の資産を買いまくっています。
バブルが弾けて二束三文となった不動産、ゴルフ場、企業等に投資を続け、不動産は今やバブル期を凌ぐ高値になった所もあり、バブルの再熱を思わせます。
ところが彼らは、買った不動産をいろいろ纏めて証券化し、金融商品として第三者に譲渡しています。従って、彼らは例え不動産が値下がりしても損をすることがありませんから、頭が良いというわけです。
 スポーツ界や経済界でのこうした外国人の活動を見ると、彼らが日本の伝統や文化、あるいは経済成長に寄与するとかの幻想を抱く方が間違っていると思います。
 
 私が外国に行って感じることは、何処の国も弱肉強食の社会であること、貧富の差(格差)の大きいこと、自己主張が強いこと、自分の非を認めないこと(謝らないこと)、自己責任が徹底していること、などです。これが日本であれば、直ぐにけんかになるのでは、と思います。それほどまでに、日本と外国の文化の違いは大きいのです。私たちはそこに気がつく必要があると思います。

 朝青龍も自分のとった行動がどうしてこんなに問題になるのか、また罰せられた上に何故謝らねばならないのか、理解できないでいることでしょう。
特に日本の文化である大相撲の世界では、外国人力士の生まれながらに染みついた民族文化とのギャップは、埋めようがないほど大きいものであるように思われてなりません。

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