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社長通信

第243号 中華人民共和国

2008年05月号

 中国には仕事でもそうですが、それ以外にも身近な未知の国ということもあって、これまで十数回通っています。初めて中国を訪れたのは、30年か31年前になるかと思いますが、石の加工品を買い付けに行ったときのことです。
当時はまだ東西の冷戦時代で、中国共産党の国、或いは中華人民共和国を略して「中共」と呼ぶ人も多く、ソ連は鉄のカーテン、中国は竹のカーテンで閉ざされた国として、不気味さを感じる国でした。
そのようななか、日本の友好商社マンと当時専務だった江川君の3人で北京空港に降り立ちました。

 ターミナルビルは、一昔前の日本の地方空港の趣で、最初に眼に飛び込んできたのは、毛沢東主席の大きな肖像画でした。初めての共産圏ということもあって、ドキドキしながら入管検査を受け、迎えのライトバンに乗りました。
北京市内までの道路には車がまばらにしか走っておらず、そのまま中心部に入っていきました。すると、そこは道路いっぱいに走る自転車と人の洪水で、大いにびっくりしました。
走っている車はトロリーバスと頑丈そうな中国製の乗用車だけです。近代的なビルは皆無で、街を往く人は老若男女を問わず草木色の人民服を着ています。女性の頭は全てオカッパで化粧なし。腹の中で叫んだ第一声は「いやぁー、こんな国に生まれなくて良かったなあ」でした。
 
 今では考えられませんが、当時は中国政府に認められた友好商社しか日中貿易を認められておらず、また観光ビザの発給はされませんので、五金公司という鉱物資源を扱う国営企業からの招請状を貰っての訪中でした。
何処へ行くにも役人らしきガイド(当時は全ての企業が国営だから役人?)が付いて回り、見物できるところは限られていて自由な行動はできません。しかし、たとえできたとしても、タクシーは殆ど無いし、バスやトロリーバスなどの公共交通を外国人が利用できる状態ではなかったので、良くも悪しくもガイド無しには動けなかったのです。

 先日、四川省を襲った大地震では、5万人を超える死者が推計され、行方不明者は1万人以上、負傷者は約10万人(5/16中国政府発表)とも言われる被害が報道されています。
 私が始めて中国を訪れたときも、その数年前に起った大地震で10万人の死者が出た唐山市(震源地)からわずか100キロほどのところにある天津市へ行くことになりました。
北京で宿泊したホテルは、高級といわれるホテルなのに部屋代が驚くほど安いので、チェックアウトしないで、スーツケースの中身を部屋に広げたまま、鍵を掛けないで出かけました(部屋専属のボーイが鍵を預かるシステムでした)。
天津(甘栗で有名)の郊外は、至る所に板切れを張り合わせた1、2坪ほどのバラックの家が立ち並び、地震の凄さを感じさせました。政府の援助も余りなさそうで、住むところを失った人たちが精一杯生きているという感じで、同情の念を禁じ得ませんでした。
天津駅は薄暗いなか、大勢の人影がうごめいていましたが、身の危険を余り感じませんでした。
翌日北京に戻ったところ、留守にした部屋から無くなった物は何一つありませんでした。また、チップをあげようとしても固辞されてしまいました。
 当時の中国は我々日本人と比べ数段貧しいにもかかわらず、毛沢東思想か共産主義教育、或いは罰則によってなのか、モラルが高く、安全・安心の国だと思ったものです。

 あれから30年あまり経ち、経済成長著しい中国では、日本への観光ツアー客が年間50万人ほどになっているそうです。中国人の海外旅行者数は、香港・マカオを含めると、年間4000万人を超えたそうで、日本の渡航者数の実に2倍以上になります。また驚くべきは、中国人の海外旅行の一人当たり平均消費額は世界一ということです。
20年ほど前までは、海外で有名ブランド店を占拠し、カメラをぶら下げて歩いているのは日本人だといわれたものですが、いまや銀座で有名ブランド品を買い漁り、ビデオを撮りまくっているのは中国人旅行客なのです。

 中国にはこのように海外にでかけることのできる富裕層が1億人いるといわれます。1億人は日本の人口のほぼ80%に相当します。その一方で、世界銀行の調査(2004年)によると、1日1ドル(100円強)の生活しか出来ない極貧層が1億2800万人もいるそうです。
 このように、現代の中国は、現地価格の20倍もする日本産の米を毎日食べることができる富裕層と、1日100円の生活しか出来ない人が、日本の人口と同じ数ずついる、世界有数の格差社会なのです。

 格差社会は拝金主義がはびこります。政治は一党独裁の社会主義で、経済は日本以上の市場経済主義の中国。この矛盾した二つの制度の元、株や不動産に投資して金儲けに狂奔する人の多いこの国が、経済破綻せずに続くものなのか、私は興味深く見守っていきたいと思っています。



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