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社長通信

第247号 火葬船

2008年09月号

 今、ご遺体を船の上で火葬するという火葬船が、新聞、テレビ、週刊誌等で話題になっているのをご存じでしょうか。 

 団塊の世代が平均寿命を迎える20年後くらいから、亡くなる方が現在の1.5倍に増えると言われています。今でも、東京や横浜では、時期や火葬場によっては亡くなられてから火葬まで、1週間ほど待たされることがあります。そのため、今後、火葬炉が増えない限り、ウェイティング期間が徐々に長くなることは目に見えていますが、新設するには近隣住民の理解が先ず得られません。
 
 一方、必要とされる数の炉を造ったとしても、30年もすれば今度は亡くなる人が減って、炉が余る時代が来ます。その時、火葬場を取り壊すとしても、多分、その時には人口減が進み、「土地余り」になっているでしょうから、火葬場の跡地は二足三文の価値しかないと思われるのです。
 そこで、炉を船に設置するという斬新なアイディアが生まれました。その船(火葬船)は、必要な地域、それも国境を越えて移動できるのですから、わが国で必要がなくなれば、必要とする国に貸すなり売るなりすることが出来ます。万が一売却できなければ、鉄の塊である火葬船は、スクラップにすれば98%がリサイクル可能です。
 
 それよりも、地震国日本はどこで大地震が起こるか分りません。東京直下型地震は、今後30年以内に70%以上の確率で起こると言われていますが、その犠牲者は1万人以上とも想定されています。そのときの備えとして、東京の30メートル以上の地下を走っている地下鉄大江戸線には防災器具、医薬品、それに水や食料の備蓄をしている駅もあるそうです。また震災発生時には、練馬区にある始発駅から陸上自衛隊朝霞駐屯地の隊員が大江戸線の鉄路を使って東京の中心部に移動し、救助活動ができる態勢になっています。大江戸線は他の路線との乗り入れが無く、独立した構造になっていて、阪神淡路大震災級にも耐えられる強度があるそうです。

 この様に命拾いした市民に対する対応はしっかり出来ていますが、一方、残念ながら犠牲となられた方々の遺体の処置についてはどういう手はずになっているのか、誰も知りません。少なくとも、首都圏の火葬炉はほぼ壊れ、使用不能になるはずです。それが真夏だとしたら…。想像するだけで身の毛がよだちます。
 
 7万人の犠牲者がでた四川大地震では、遺体をトラックで運搬し、地下水への影響がないほどの地下深くに埋めたそうですが、中国だからできることです。埋める土地も無い東京では火葬しかありません。そのような時に、全国各地の港に係留されている火葬船が、東京湾に駆けつける。その逆もありで、被災地へ直ぐ駆けつけることができるのは船だからです。
 火葬船は、大学の3年後輩のお寺のコンサルティングを営む日本テンプルヴァンの井上文夫社長が、今後大幅に不足すると想定されている火葬場の代替のみならず、船の中で葬儀式、火葬、法要、会食を営むことのできる設備として提唱しました。
 さらに、その火葬船の実現に向けて、日本財団が有識者10名による『葬斎・火葬船』構想調査委員会を編成し、2年にわたる調査・研究の末、去る4月にその報告書を発表しました。
 火葬は当然のことに公共性の強い事業であり、運営母体は営利だけを目的に経営すべきではありませんが、採算を度外視して、事業の永続性を損なうことも許されません。私は、海運会社、葬儀社、火葬会社が三位一体となり、知恵を出し合えば役所が行う以上のサービスを伴った船上の葬送が出来るのではと思います。
 葬儀は、今では昼間が常識ですが、元々は夜に行ったもの(葬儀式場に提灯を飾るのは、その時の名残り)。東京湾の夜景をバックにしてのご葬儀とは、何とロマンに満ちたお見送りでしょうか。
 さらに、火葬船の運用によって、「人生の新たなステージへの旅立ちの装置」というような、新しく、かつ斬新な葬送方式を採用することによって、従来の火葬に対する、重苦しく、暗いイメージを一新することも、可能だと思われてなりません。
 
 いつものことながら新しい事業に血の沸く私ですが、火葬船についても供養業界のトップ企業の経営者に集まってもらい、勉強会を始めることにしました。取り敢えず10月2日に『葬斎・火葬船』構想調査委員会の3人の先生のお話を聞く会を開催し、火葬船の実現に向け、第一歩を踏み出すことになりました。これが実現すれば、火葬炉不足や改築のため、炉の操業ができない自治体に火葬船をリースするなどして、今後直面する問題を一気に解決に向わせるのではと夢を描いています。

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