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社長通信

第249号 新トップ

2008年11月号

 黒人と白人のハーフ、バラック・オバマ氏が11月4日の米国大統領選挙によって選ばれ、世界のトップリーダーになることが決まりました。その選挙期間中に、100年に一度とも言われる規模の経済危機が世界を襲い、大統領就任直後に大改革を余儀なくされています。この危機は、サブプライムローンに端を発して、瞬く間に世界中に広がった金融危機ですが、元を質せば「物作り」に負けたアメリカが、ITを駆使した金融技術によって再び経済発展を遂げて、世界に君臨しようともくろんだところにあると思います。

 約10年前のバブル崩壊は、日本の大手証券会社や銀行がバタバタ潰れ、これで日本も終わりかと思われるほど、企業、特に金融業が機能不全に陥った時代でした。その時代、日本の国内を席巻したのが、人、モノ、金が国境を越えて自由に行き来するグローバリゼーションでした。

 特に金融界を襲ったグローバル化の波といえば、世界中の金融機関が欧米の金融システムに取り込まれたことです。例えば、銀行が国際的に業務を営むには、93年3月末までに、BIS(国際決済銀行)規制をクリアしなければならなくなりました。即ち自己資本比率が8%以上あることが国際業務を行う銀行の条件としたのです。当時、日本の殆どの銀行はこの条件を満たすことができなかったため、日本を狙い撃ちした規制とも言われました。しかし、この規制に対処するために、増資や資本注入、即ち公的資金を注ぎ込み、ついには、多くの銀行が国際業務を続けることができたのです。
結局のところ、BIS規制の強制は、欧米資本が日本の金融機関を潰し、買い叩くためだったと思うのですが、逆に、殆どの銀行がBIS規制をクリアして体力を付けることができたのです。しかし、それでも規制をクリアできなかった銀行や保険会社は潰れ、二束三文で欧米の金融資本や投資ファンドなどに買い叩かれたのは記憶に新しいところです。その一方で、サブプライムローンを証券化した商品が値下がりし、それをいっぱい持っているアメリカの銀行がこの規制によって自分の首を絞めることになったのは、何とも皮肉なことです。
 
アメリカNO.4の投資会社(証券会社)リーマン・ブラザーズは破産。金融機関というよりマネーマーケット(金融市場)の破綻に備えて、ブッシュ政権は総額70兆円の公的資金を用意し、クラッシュに備えています。そして、アメリカの次期大統領は、「我々は生涯最大の危機に瀕している」と述べ、金融危機の長期化による信用収縮や雇用情勢の悪化を回避するため、「必要なあらゆる手段を講じる」と公言しました。

 いずれにしても、若干47歳、中央政界の経験も4年ほどしかないマイノリティー、それも黒人が、人種差別が多いアメリカの大統領に選ばれ、その手腕に多くの人が注目しているのは事実です。
 
 彼の出自は父親がケニア出身の黒人でイスラム教徒。母親はハワイ大学の白人学生。二人がハワイ大学で出会い、結婚し、オバマ氏が生まれます。ところが3年後に離婚し、父親は祖国ケニアに帰国してしまいます。その後、母親はインドネシア人と再婚し、彼は10歳までの4年ほどの間、ジャカルタに住んでいます。母親は再び彼と共にハワイに戻りましたが、今度は彼を自分の両親(オバマ氏の母方の祖父母)に預け、彼女はジャカルタに戻っています。その後、そのインドネシア人とも離婚します。

 この様に複雑且つ国際的、それも発展途上国の有色人種の世界で育ってきた彼の生活環境は、決して恵まれていたようには見受けられません。それを考えると、彼は正しくアメリカンドリームを具現してくれたと言えるでしょう。こうしたオバマ氏だからこそ経済的・社会的弱者、有色人種、異なる文化・宗教や政治も理解できるであろうと思われます。また、現在進行形で、いま世界中に起こっている紛争の解決、アメリカの経済成長戦略、地球温暖化対策はもちろんのこと、1929年の世界恐慌以来の経済危機に瀕し、問題が山積のこの時期に、就任する次期大統領がどんな手腕を発揮してくれるか楽しみです。

 今回の金融危機は、アメリカの経済基盤である「戦争と金融」が失敗したのが発端です。もし、彼の大統領就任によって世界が平和な方向に向かうなら、トップは人種や家柄や経験者でないと務まらないという、これまでの常識は無くなり、全く新しい未知な人をトップに据えても構わないという新しい潮流が起こり、大変革が起こるのではと、私は期待しているのです。

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