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社長通信

第269号 父性

2010年08月号

 私は2月から、朝は自宅から歩いて井荻本社に出社し、昼ごろに普通電車で高田馬場へ移動します。従ってラッシュアワーを過ぎた時間帯に乗ります。乗車時間は21分間ですが、今まで見たことも経験したこともないようなことに遭遇して驚いています。
 一番驚いたのは、電車内で若い女性が平気で化粧をすることです。ある時、目の前の20歳台後半と思しき女性が、やおら化粧道具を膝の上に置き、下地作りからメイクを始めたのにはびっくりしました。彼女は、アイラインはもとよりまつ毛をカールする道具まで持ち出し、手鏡を見ながら念入りに仕上げていくではないですか。ここまでする女性は稀としても、アイシャドーやアイラインくらいの作業は時々見ます。また、パンやおにぎりをバックから取り出して食べる女性もいます。若い女性に限らず50代と思しき女性も電車内で平気で口を動かしています。男子高校生になるとカップ麺を食べている輩さえいます。彼らの行動を慮るに、他人に迷惑をかけている訳ではない、個人の自由だという理屈でこのようなことをしているようです。所謂「恥じる」ということが無いのでしょう。 
 今までは決して見ることのなかったこのような行動を、なぜ多くの人がするようになったのでしょうか。それは「父性の喪失」と関係していると、私には思われてなりません。
 かつて、父親は家長として家族を纏め、社会や家庭の理念やルール、更に文化や習慣を子供たちに教え伝える役割を担っていました。戦後の高度経済成長期が始まるまでは、純粋のサラリーマン家庭は少なく、父親の働く姿を目の前に見て育った子供が多かったと思います。そのような中で、やって良いことと悪いこと等を肌で自然と学んできたのです。
 
 私の世代は、父親からことあるごとに、嘘をつくな、弱い者いじめをするな、おおきに(ありがとう)を忘れるな、ご飯を残すな、物を大事にせよ等々、口うるさく言われたものです。ところが、高度成長が始まると、お父さんたちは猛烈サラリーマンと化し、マイホームを持つようになり、核家族化が進みました。お父さんの帰宅は子供が寝てからが普通となり、家庭は母子だけの生活時間が多くなって、子供の躾はお母さん任せになっていきました。
 たまにしか子供と接する機会の無いお父さんは子供に好かれようとして対応が甘くなります。その結果、父親が子供と友達関係になり、家長の役割=リーダーシップを発揮できなくなると、社会のルールを教え、家族を統率する力が衰えていきます。その結果、父親と子供の上下関係がなくなり、家族はそれぞれの考え方で行動するようになります。そして、子供が成人する頃には、ついには家族がバラバラになってしまうのです。子供の自主性を重んじると言って、子供の人格を尊重する余り、自由に育てることを物分りの良い父親だと錯覚している人がいます。勉強さえ出来ればりっぱな人間に育つと考えている父親も少なくありません。
 社会のルールや徳目を教えることは、子供に煙たがられます。しかし、社会のルールを教わらずに育った子供はどうなるのでしょうか。彼らは、迷惑を掛けねば何をしても自由だ、売春さえも自由だ、自分の勝手だという子供に育っていきます。
 
 最近、23歳の女性が1歳と3歳の子供をマンションに放置して、餓死させるという悲しい事件がありました。彼女は三重県で19歳のとき結婚し、昨年5月に離婚。子供を連れて大阪に来て、風俗で働いていたそうですが、ホスト遊びが面白くなり、育児を放棄し、ついには子供を死に追いやってしまったのです。この痛ましい事件の遠因は家庭にあったようです。彼女の父親は、ある高校のラグビー部の監督として15回も全国大会に出場したほど有名だったそうです。彼は、練習、対外試合、合宿などで家庭を顧みることがなく、家に帰れば帰ったで、妻に殴る蹴るの暴行を働くなど、家長失格だったようです。そのため、事件を起こした張本人の実の母親も、二度目の母親も離婚し、家庭は崩壊していたのです。家族の愛情に飢えて、結婚をして子供も産んだようですが、所詮「家庭の作り方」を学習できていなかったのではないでしょうか。
 子育て中のお父さん!是非とも威信と威厳を持って、父親中心の家庭を作ってください。人間が生きるということは「自己実現」をすることです。競争社会の中で、自分の能力を存分に発揮して自己実現できる大人に育てる為には、父親が、子供に価値観や社会のルールをしっかりと伝授することが大事だと思います。

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