トップページ社長通信第274号 インド旅行

社長通信

第274号 インド旅行

2011年01月号

 仕事柄、仏教が誕生したインドを訪ねてみたいと30年来思い続けていました。
 しかし、インドは、季節によっては40℃近い日もあるとても過酷な国です。そのため、下痢が怖くて冬場以外には行けません。また、インドの水は、歯を磨くのもミネラルウオーターが良いとアドバイスされるほど悪いと聞き、なかなか訪ねることができないでいました。
 その念願のインドに、昨年12月30日から翌1月3日にかけて、デリー/ジャイプール/アグラ3都市を3泊5日で巡る弾丸ツアーに参加して行ってきました。
 
 バスから見るインドの街の風景は、私の子供時代の日本を彷彿とさせました。また、私は30年前の中国を知っているので、当時の中国人の市民生活ともダブりました。バラックやテントの小さな家や、裸足で歩く人、古くて傷だらけのバイクや小型自動車(スズキが多い)、鳴らしっぱなしのクラクション、ルール無視の運転手と歩行者、途切れることのない人の流れ等々、11億人が凄まじい喧騒の中で生きているのを肌で感じることができました。
 
 インドは国民の80%がヒンドゥー教徒で、彼らは、牛を神の使いと信じているため、決して食べません。一方、牛を食べるイスラム教徒が14%もいて、彼らは豚を食べません。14%と言っても、日本の人口より多いのですから、牛肉の消費量は世界で4番目に多い国です。その牛が、車道や歩道を悠然と歩いているのです。ちょっと市街を外れると、豚、牛、羊、山羊が餌を求めて道路をうろうろしています。野良犬ならぬ野良豚や野良牛には驚きました。農家などは、排泄物を豚に食べさせて処理しているといいます。
 
 中国は、共産党の一党支配により13億人の国を治めていますが、インドは民主国家です。この国の膨大の数の国民を制御し統治しているのが、3千年以上の歴史を持つカースト制ではなかろうかと思います。
 カーストとは、ヴァルナと呼ばれる身分(階級)制度と、ジャーティーと呼ばれる職能制度を組み合わせたものです。当初のヴァルナとは、バラモン(司祭者)、クシャトリヤ(士族)、ヴァイシャ(庶民)、シュードラ(奴隷)の4つの身分制度から始まり、ジャーティーは洗濯職、掃除職、庭師、彫刻師、織物職、農業、羊飼いなど2~3千の職能別の集団があり、この集団は通常4つのヴァルナのどれかに属しています。その他に、この4階級のカースト制度にも入れてもらえない集団があり、彼らは、いわゆる不可触賎民、またはアウトカーストと言われ、穢れた(けがれた)者として扱われています。
 
 現在の法律では、このようなカーストによる差別は禁止されていますが、しきたりとしてのカーストが生きていて、異カースト間の男女交際や結婚を認めない伝統が根強く残っている地方もあります。下位カーストの男とつきあっている自分の娘とその男を、上位カーストである肉親が殺してしまうという、インド以外では信じられない事件が頻繁に起こっています。この殺人は“名誉殺人”として娘の親に同情する人もいて、カーストが如何にインド社会に根深く浸透しているかがわかります。
 
 このように、インドの支配階級や富裕層の多くが、カーストによる恩恵を受けているが故に、紀元前からの制度が、いまだに社会に息づいているのです。そして、このカースト制が貧富の差を広げつつあり、それを縮めることはほとんど不可能です。下位カーストに属する人達の多くは教育も受けられず、文盲も多いのが実情です。
 何故、法律でカーストを禁止しても無くならないのか・・・それは苗字を聞けばカーストの階級が分かるからだと言われています。役人登用の際にも下位カーストに優先枠を与えたりして保護しているようですが、上位カーストは逆差別だとして、私がツアー中にも高速道路の封鎖を行ったために、私たちの乗ったバスは、でこぼこ道を3時間も迂回させられました。
 
 インド(ネパール)で生まれたお釈迦様は、人間は等しく平等であることを説き、仏教がインドに広がった時代もあったようですが、現在では、「生きた」(人々に信仰されている)仏教は、インドにはほとんど影も形もありませんでした。平等を説く仏教より、現世利益優先のヒンドゥー教やイスラム教の方が庶民受けするのかもしれません。
 ツアー中、私は、学校にも行かず大道芸をしてチップを稼いでいた5歳と9歳の兄妹に遭遇しました。気温は10℃ちょっとなのに、彼らの服装は薄着で裸足でした。
 このようなインドの貧富の差を目の当たりにすると、日本にはそのような差は無いに等しく、またあらゆる自由と平等が普遍化している日本を誇りに感じた旅行でした。

会社情報
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-300-100 資料請求・お問い合わせ
ページの先頭へ