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社長通信

第281号 隠蔽

2011年08月号

 私の友達に、日本に嫁いできた中国人がいます。彼女の中国の友達に高速鉄道(中国版新幹線)の技術者がいて、その人は「高速鉄道には乗らない」といっていたと、彼女は数ヶ月前に私に言いました。日本の新幹線は開業以来約半世紀になりますが、死亡事故はゼロ。ところが中国は独自技術で開発したと言い張って、世界中に中国製新幹線の売込みを図っていました。
 私は、「中国の新幹線は、日本やフランス、ドイツ等の技術導入によって作ったくせに『独自技術』とはよく言うよ」と、しばしば言っていたものです。中国独自の技術開発といってもほとんどがパクリだから脱線くらいはあるだろうとは思っていましたが、追突事故は夢想だにしませんでした。ところが皮肉にも、今回の事故が中国の独自技術であったことをいみじくも証明してくれました。どうやら、車両などのハードは各国の技術のいいとこ取りで作ったためか、時速380キロという世界最高速のスピードは達成しましたが、ソフトである運行システムに問題がありました。
 追突された車両は、落雷による信号機故障の後、低速での走行指示があったそうですが、一方の追突した車両は、運行上、追突された車両の前を走行していなければならなかったのに、ダイヤの乱れで位置関係が反対になり、今回の大事故を引き起こしたのです。
 この事故の数日後、私も利用したことのある上海の地下鉄では、信号システムのミスで電車が逆走するという事故がありましたが、大惨事にならなくて幸いでした。どうやらソフト面のコピーはなかなか上手くいかないようです。
 高速鉄道追突事故では、原因となった重大な欠陥を隠すためか、原因を落雷による信号機の故障で片付けようとして、その翌日には大破した先頭部分の車両を粉々にして土の中に埋めてしまいました。
 しかし、どんなに情報を隠蔽しようとしても、現代社会は、中国の新幹線と同じように、情報が超高速で走る社会です。事故の現場写真が瞬く間にインターネット上に流れ、政府の隠蔽体質が暴露されると、国中から非難の嵐が巻き起こりました。
 中国政府の発表によると、この事故の犠牲者は35人とのことですが、満席であった割には死者が少ないように思われます。中国における鉄道事故の基本賠償額は約200万円(都市住民の年収の約8倍)のところを、約600万円を提示し早期決着を計ったものの、騒ぎは拡大する一方でした。遂に、ことは温家宝首相が温州まで出向き謝罪するまで発展してしまいます。彼は「事故原因調査の全過程を公開し、社会の監督を受ける」と語りました。
 しかし、人々は、中国政府の言うことをまともには信用していません。誰もが温家宝首相の言葉を鵜呑みにはしてはいないようですが、とにかく、彼が現場に行くと騒ぎは収まります。賠償額も一気に1,100万円に増額されましたが、この額は日本なら差し詰め、2億円位でしょうか。
 翌日には報道規制が敷かれましたが、いくらマスメディアを規制しても、個々人が発信できるインターネットの完全な口封じは不可能ですから、いずれ総てが露呈するでしょう。一昔前の中国人は口コミで裏情報を交換していましたが、現代はインターネットが口コミに取って代わりました。
 
 私が、中国のことを書くと何時も悪口になってしまいますが、翻って、我が日本政府は何も隠蔽していないのでしょうか。
 3月11日の東日本大震災以降、政府の発表の中でも、特に福島原発に関しては嘘だらけであることが露呈しました。11日の地震と津波によって福島第一原発の全ての電源がストップし、12日には1号機の建屋の天井が水素爆発で吹き飛んでしまいました。すぐに、政府は原発から半径10キロメートル以内の住民に避難指示。15日には30キロ圏内の屋内退避指示を出しましたが、翌16日、アメリカ政府は自国民に対し、80キロ圏外への退避勧告を出しました。アメリカ人に限らず、中国でさえ専用機を新潟へ飛ばし、自国民を帰国させ、「人命重視の中国」をアピールしました。アメリカは無人偵察機を飛ばして、情報収集していたようですが、日本政府はその情報を得ていたに違いありません。
 当時、日本から多くの外人がいなくなりましたが、政府は、80キロ圏内の日本人が避難するとなると、大パニックとなるので隠蔽するしかなかったのでしょう。前総理からペテン師呼ばわりされた菅総理ですから、国民を安心させるための嘘なら平気でつけたのかもしれません。
 
 それにしても、阪神淡路大震災のときの総理大臣は、社会党の村山富市さん。今回は、鳩山さんの後任でなった元市民運動家の菅直人さん。大災害が起こるのは、何故か政権運営の経験に乏しい弱体政府のときばかりです。菅さんは支持率が歴代内閣最低だというのに、それを全く意に介せず随分と頑張ったものです。1億2,600万人の世論をしても、総理を首に出来ないことが良く分りました。次は政党をしっかり選びたいものです。

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