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社長通信

第283号 運

2011年10月号

 先日、小金井カントリー倶楽部で開催されたゴルフコンペに参加する機会がありました。
 このコースは、昭和12年10月にオープンした超名門コースです。会員権は株主会員権なので、会員はゴルフ場経営会社の株主ですから、間接的に地主ともなるわけです。バブルの時は、一時、4億円以上もしていた会員権は、現在、その十分の一の4,200万円です。しかし、それでも周辺の戸建て住宅の価格と同じです。しかも、会員資格は男性35歳以上、女性20歳以上。したがって、その歳以上でないとゲストであってもプレーすることが許されていません。
 さらに、入会には会員2名以上の推薦と理事(推薦者になれません)の面接があって、お金があるだけでは会員になれません(品性・品格を厳しくチェック)。現在、会員は四百数十人いますが、そのうち、80歳以上が100人以上もいるとか。
 しかし、もしお金があっても、私は会員になりたいとは思いません。なぜならば、ここには乗用カートが無いからです。キャディーさんによると、80歳以上の会員でも、真夏といえども歩いて廻られると言います。では倒れる人も多いだろうねと尋ねたところ、「倒れるのは若い人ですよ」といいます。
 私は数年前から、乗用カートがあっても健康に良くないだろうと、夏場や冬場のゴルフは止めましたが、戦争を体験した世代の人たちの頑健さには驚かされます。いずれにしても、ここは私には縁遠いゴルフ場です。

 ところで、第二次世界大戦で日本が敗れるまで、満20歳(終戦の1年前には19歳に引き下げ)になると徴兵検査があり、体格的に上位から、甲乙丙丁戊の5種のランクに分けられていました。徴兵該当者は、甲種の上位から選択して、市区町村役場から、召集令状(赤紙といわれる公文書)が、直接本人または家族に手渡されたそうです。終戦の年に19歳で徴兵された人は今や84歳。徴兵年齢に達しなかった若者は、戦争に駆り出されることが無かった代わりに、終戦後、成長期の食べ盛りまっただ中であったので、ひもじい毎日を送っていたはずです。
 日中戦争は昭和12年に始まりましたが、それ以前に生まれた人たち(焼け跡世代)となると、終戦後は自分で食べ物を調達しなければならない人もいました。この世代に属しているある有名人は、”畑のイモを盗んで空腹を満たした”という思い出を語っていました。
 いずれにしても、この世代の人たちは、戦中戦後を生き抜いてきた「つわもの」ですから、体力・精神力・生命力の「でき」が、戦後世代とは違うように思われてなりません。
 第二次大戦に駆り出された日本兵は延べ800万人といわれますが、そのほとんどは大正生まれの男性です。そのうち、日中戦争で46万人、太平洋戦争で230万人が戦死したと言われていますが、その6割は病死を含む餓死だそうです。どれほどの大和魂があっても、「腹が減っては軍(いくさ)はできぬ」のは当然です。大正一桁生まれの私の叔父も、不幸にして南洋で戦死しましたが、果たして敵の弾に当って死んだのか、餓死なのか、お骨の無い戦死公報しかありませんから、真実は未だにわかりません。

 一方、戦争に行って運よく生き残り、総理大臣になった大正二桁生まれが3人います。竹下登、宇野宗佑、村山富市の三氏ですが、3人とも実力以上に運が良かったからなれた、といえないでしょうか。
 戦争で九死に一生を得た幸運な人たちは、内地へ戻り、結婚し、子作りに励みました。その結果、団塊世代と呼ばれる人たちが誕生(第一次ベビーブーム)しました。
 この世代(昭和22年~26年生まれ)の人口は、実に1,000万人で、彼らが小学校に入学した時、1クラスは50人から60人に膨れあがり、各教室はまさに、ブロイラー並の詰め込み教室となってしまいました。
 彼らは、戦前世代とは違う思考回路を持ち、新しい生活文化を築いてきました。それは多分に、戦中は鬼畜米英の教育を受けたのに、敗戦と同時に欧米文化を押し付けられ、180度の価値観転換を迫られた親たちの影響を受けた子どもたちであったためだからではないでしょうか。
 
 その彼らも数年前から次々に定年を迎え、今現在、60歳から64歳。この集団が良くも悪くも社会の変革の起爆剤になったことは否めません。
 私の世代は、終戦時0~7歳くらいの、「焼け跡世代」と「団塊世代」との狭間になります。
イモ蔓ばかりのおじやの毎日で、空腹を感じた経験はありますが、小学校は新制で、学校給食も低学年から経験してきました。その後、大学に入学する頃から高度経済成長期となり、誰もが就職できた青年期を過ごしてきました。
 この様に、人生は生まれた時代や場所による運不運はありますが、たとえ戦争に駆り出された不運な世代であっても、生還し、総理になった幸運な人もいるのです。
 そう考えると、どのような時代であっても、未来に希望を抱きながら、がんばって生きていくべきではないのかと思えるのです。

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