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社長通信

第288号 中国

2012年03月号

 先日、5年振りに中国のアモイ市(Amoy)に行ってきました。Amoyは国際的な呼び名です。元々アモイの呼び名は、この地の土着人の言葉で、中国語では厦門市(Xiamen)と表記します。アモイと呼ばれる地域の中に大きな島があり、それが市の中心部を成すアモイ島です。アモイは台湾の目と鼻の先にあり、台湾に属する金門島は、アモイから泳いで渡れる距離にあります。アモイ市内には高層ビルやマンション群が林立し、近代的な都市の様相を呈しています。夜になるとどのビルも綺麗なイルミネーションで飾られ、夜空に浮かび上がります。しかし、アモイを初めて訪れた十数年前、そこには高層ビルやマンションなどは無く、典型的な「田舎」の地方都市でした。この5年間の変貌は日本の10年に相当するでしょうか。5年前のアモイ市は人口が250万人でしたが、今や4割も増え350万人。

 今回の訪問は、毎年行われる中国厦門国際石材博覧会、およびアモイ市の霊園と火葬場の見学が目的でした。博覧会で大きく変わったことは、日本向けの墓石の展示割合が極端に少なくなったことです。博覧会の規模が大きくなったことも一因ですが、10年前に比べ墓石の展示品は日本向けから欧米向け、建築石材は欧米や中国国内向けが多くなったことです。日本の墓石は今や90%以上を中国に依存し、中国無くして墓石業界は成り立たなくなっています。ところが、その生産を担う中国メーカーの変わり身の早さは驚異的で、多くのメーカーが、扱う商品を墓石から建材に転換していました。中国メーカーは元高、人件費・原石・諸経費の高騰によって日本のバイヤーに大幅な値上げを要求するものの、日本側はデフレのため販売価格の値上げに十分に応じることが出来ず、その結果、日本離れを起こしてしまったようです。
 
 私が初めて中国を訪れたのは35年ほど前で、石製品の買い付けのためでした。当時のビジネス相手は五金公司といい、鉱物資源を扱う役所でした。そして、交渉相手は当然お役人です。羽田を発った飛行機は北京に降り立ち、色気の無い同じ服装(人民服)をした市民と、自転車の洪水の中をオンボロ車で走りぬけ、ホテルに案内されました。その夜は、金正日もよく利用したといわれる北京ダックで有名な「全聚徳」に招待されました。我々は3人に対し、中国側は5人が相手をしてくれます。あの当時は余り酒が強くなかったのに、5人に対し、一人ずつに杯を上げ、「日中」ではなく「中日友好カンペイ(乾杯)」と唱和し、紹興酒を一気に飲み干さねばなりませんでした。お蔭ですっかり酔っ払ってしまい、「こんな美味な食べ物が世の中にあるものだろうか」と思いながら食べた折角の北京ダックを全部戻してしまったのを覚えています。

 当時、彼らが案内してくれた工場の所在地は上海、そして、大地震で死者20万人以上という壊滅的な被害を被った唐山市に近い、天津市でした。地震から1、2年後のことでしたから、天津のあちこちに豚小屋よりもひどい建物が立ち並び、乞食のような人々で溢れていました。駅前は真っ暗で、大群衆がもぞもぞと動く様は、不気味でさえありました。
 彼らは、私たちを観光と称して、町中を連れ回すだけで、何だかんだと言い訳をつけて、結局、一つも工場を見せてくれませんでした(今から考えると、当時は見られることが恥ずかしい工場だったと思われます)。
それでも中国人は今も昔も「接待が営業」と心得ているらしく、毎晩カンペイ!カンペイ!の結果、1万ドル(1ドル360円時代)ほどの、軟石作りの花瓶や山水の置物を買う羽目になりました。3ヶ月ほどで送るということでしたが、着いたのは1年後で中国熱がすっかり冷めた頃でした。

 中国人と付き合ってみて感じることは、会話は自己主張が凄まじいことでした。彼らと話をしていると、こちらが話す暇がないほどです。また、自己中心的で、自分はいつも正しくて、間違っていたり悪いのは他人だという独善家が多いように思われます。従って、絶対に謝りません。当時、注文した商品の到着が遅れたのは、メーカーが悪い、自分は何の責任も無いというのが五金公司の役人の言い訳でした。
 
 ある時、とある市が経営している「友誼商店」というお土産店で、高さ約60センチの香木(白檀)でできた観音像を10万円で買い、飛行機で送ってもらうことにしました。ところが、手元に着いた観音像は、香木ではなく2、3万円の緑檀製。本物よりいい物を作る技術のある中国人のこと、騙されまいと写真を撮ってきましたが、姿かたちは寸分の違いもありません。まさか市営商店ですから、騙すわけがないと錯覚していました。我々日本人は役人だけは信用できると言うのが、当時の常識でした。このことを中国人の友人に言ったところ、「一番信用できないのは役人ですよ」ということでした。勿論、日本人にも、中国人に似た悪い奴もいますから、13億人の中国人が全て同じではありません。その後、5年10年と様々な中国人と付き合う様になると、日本の友人と同じような付き合いが出来る中国人も増えてきました。それでも、一般的には、人の良い日本人は、北京ダックでなくジャパンダックなのかもしれません。

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