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社長通信

第289号 暴排条例

2012年04月号

 尾崎士郎原作「人生劇場」の主題歌は何百回、否千回以上も歌ったことだろう。この歌は、第二早稲田大学校歌として、今でも早稲田の学生やOBに歌い継がれていて、校歌の歌詞は間違っても、第二校歌の歌詞を間違えないのが、早稲田OBの証しでさえあります。ところが、日本全国の都道府県に暴力団排除条例(暴排条例)が施行されたのをきっかけとして、ヤクザの世界を描いた小説「人生劇場」11編のうち、唯一残っていた青春篇も絶版になるといいます。尾崎士郎が「人生劇場」で描いたのは、戦前の青春群像であり、義理と人情の世界に生きた人びとの物語でした。「人生劇場」は不世出の文学でしたが、暴排条例のために、この世から消えてしまうのはちょっと残念に思われます。
 ところで、ヤクザを暴力団と呼ぶようになったのは、戦後のGHQによるものだと言います。現在、各都道府県の公安委員会が指定した暴力団は、全国で22団体。その構成員(組員)は全国に約7万人いると言われています。新宿の歌舞伎町へ行くと、如何にもヤクザという姿・格好の人がいますが、私たちは、その人たちと目があったり、肩などが触れないように避けて通ります。日本のヤクザはヤクザと分る格好をして、それをシノギ(稼ぎ)のための道具にしています。即ち、俺はヤクザだと自認し、それを誇示することによって、市民を威圧し恐れさせて、シノギを得てきたのです。彼らの誇りでもあった組のバッチも、市民を威圧するための道具の一つでしたが、暴力団対策法(暴対法)ができてからは、取締りも厳しくなったせいか、バッチを付けなくなりました。暴対法には禁止している行為が21もあり、違反せずにシノギを得ることも出来なくなってしまったように思われます。

 さて、彼らは、表の社会からドロップアウトした、アウトローの人たちが多いのも特徴です。特に、在日外国人や被差別部落民などの、社会から疎外されている人たちが多いようです。そのような人びとは、たとえ堅気になったとしても、元ヤクザを雇用する企業があるとも思えません。理由があれば改名も簡単にできるそうですが、改名して堅気になったとしても、所詮弱いが故に群れていた人たちです。何か問題が起こったとき、かつての「威力」の魅力を思い出さずにおられるだろうかと心配になります。何処の国に行っても、アウトローでしか生きられない人がいるものです。映画ゴッドファザーで知られるアメリカのマフィアは、隣に住んでいても判らないような慎ましい生活をしていると聞きます。これからは、私の隣にヤクザが住んでも分からない時代になるのでしょうか。
ところで、ヤクザは暴力的威力によって金を得ています。一方、政治家にも政治力という政治的威力によって利益を得る者がいるようです。こうして見てみると、ヤクザと政治家、どちらも五十歩百歩の悪人だとは思えてなりません。

 ヤクザは元々、博徒(ばくち打ち)と、テキヤ(的屋)からスタートしたものです。今後、一部暴力団と繋がっているテキヤの人びとは、お寺や神社のお祭りを開催する時に困ったことになりそうです。焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、金魚すくい、ヨウヨウ売り、射的などお祭りを賑わせている彼らの中に、万が一暴力団関係者がいた場合、反社会的勢力に対する利益供与の疑いで暴排条例に抵触しかねないのです。お寺や神社が彼らに境内地を貸すことは、利益供与と見なされるため、そのようなテキヤの人びとは、今後は営業をすることができなくなります。
暴排条例制定に関わった警察の狙いは、彼らの糧道を断つことです。利益供与する者がいる限り、ヤクザの息の根を止めることはできません。ヤクザを取り締まるより、利益供与する側を取り締まる方が効果的と判断した結果、成立したのが暴排条例なのです。
また、ヤクザの重要なシノギに、故人となった組長の葬儀や法事があります。しかしながら、これからは彼らに会場を貸すこと、お坊さんの読経さえ利益供与となってしまいます。組長クラスの葬儀や法事には大枚の香典が入ります。ヤクザの世界だけではなく、仏教の世界でも故人となった住職の回忌法要は千載一遇の金集めのチャンスなのです。これは、同じように、お花、お茶など、免許を授与する習い事ビジネスにおいても、ピラミッドになっている頂点にお金が集まるようになっています。
 歴史の古い「業界」は上手い集金方法を作っているものだと感心しますが、これからはきれいなところに、きれいなお金が集まる世の中になっていって欲しいものですね。

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