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社長通信

第309号 運

2013年12月号

 私は自分のことを運の良いほうだと思います。
 私が生まれた昭和15年(西暦1940年)は、皇紀(日本書紀に記された神武天皇即位の年を元年とする年号)2600年の記念すべき年でした。
 私が生まれた翌年に、我が国は太平洋戦争に突入し、5歳の時に終戦を迎えました。私が生まれた土地は滋賀県の片田舎です。今でこそ住宅も多くなりましたが、当時は織物工場以外には大した工場がなかったためにアメリカ軍の爆撃を免れました。技術者だった私の父親は、精米機(?)のメーカーの工場長だったので召集されることもなく終戦を迎えました。それゆえ、私は父無し児になる不運は免れたのです。
 我が家は、終戦時には3人兄弟(その後2人誕生)でしたが、親子5人が食物に不自由しない程度の田畑を作っていました。ところが、米を供出(政府から割り当てられた量の主要食糧農産物を国に強制的に売り渡す制度)させられたので、終戦時には芋蔓などの入った雑炊が主食だったといいます。この頃のことは幼すぎて記憶にありませんが、ひもじい思いをした記憶がありません。親は食べなくとも子供を飢えさせることはなかったのです。これがもう少し早く生まれていたら、育ち盛りと終戦が重なり、ひもじい思いをしたかもしれません。幸運にもお腹が空いて死にそうという経験がありません。
 小学校時代、脱脂粉乳や固いパンではあったが、それまで飲食したことのないミルクやパンの学校給食によって、栄養失調になる同級生が一人もいない幸運にも恵まれました。また、戦後の復興が進むにつれ、家庭の食事も目に見えて良くなってきたので、本能的に未来を明るく捉えていたと思います。生まれた場所が田舎であり、半農半サラリーマンの家に生まれたのは幸運だったと思います。
 幸運はさらに続きました。高校は進学校である県立彦根東高校に進学し、同級生に将来伴侶となる女性がいました。高校時代は、彼女とは同じクラスになることもなく、良くは知らなかったのですが、早稲田大学へ入学した翌年、私が幹事として在京同窓会を開いたとき、参加者の中に、偶然彼女がいたのです。 専門学校に行っていた彼女は、浅草などの名所に行ったことが無いといいます。それでは案内しようということから交際が始まりました。二人とも初めての恋愛だったのですが、お互いの異質なところを魅力と感じたのか、卒業と同時にゴールインしました。もともと結婚は、卒業して1年経ってからと決めていたのですが、ある事情から結婚の日取りを変更したのです。実は、彼女は、実母が彼女を産んで直ぐ亡くなったため、祖母に育てられたのですが、その育ての親が末期がんに罹り、式を予定より1年以上早めたのです。もし、結婚が予定通り1年後となっていれば、親父の会社が風前の灯火となっていて、結婚どころではなかったかもしれません。
 当時の早稲田大学には、羽織袴に角帽姿でキャンパスを闊歩する一風変わった学生がいました。私が入学した年に、その学生が、先輩や仲間と作った会が早稲田精神昂揚会でした。その会員募集のコーナーに説明を聞きに行ったところ、その人は川口と言い、滋賀県出身の4年生というではないですか。もとより野党(在野)精神・敢闘精神・反骨(反権力)精神・進取の精神などの校風が私の性格に合ったので入った大学です。その早稲田から、失われた建学の精神を昂揚しようという会の創立者が同郷の人ですから、一も二も無く入会しました。入学した年に生まれたサークルなので、上級生は数人しかいませんでした。おまけに、上級生であろうと新入生であろうと、全員がこの会の新人なので、1年生といえども、活躍の場が沢山ありました。部活資金を得るために、講演会・音楽会・〇〇祭など、さまざまなイベントを企画し、人を集め、開催するなど、ビジネスの真似事を大学時代から経験することができたのです。そして、この会を通じて得た先輩・同輩・後輩との出会いが、私の人生に多大な影響を与えてくれました。
 大学卒業と同時に、私は父親が社長を務めるバルブメーカーの専務として入社しましたが、会社は火の車です。資金繰りに毎日飛び回るのが専務としての私の仕事でした。結婚し、入社した翌年に、この会社は力尽きて倒産しましたが、そんな苦しい時、逃げもせず 私を支えてくれた家内を得られたことは幸運の一語に尽きます。
 26才の時、家内と子供を連れて上京し、当社の前身である日本ホームサービスを資本金50万円で創業しました。その50万円が13億円までになったのは、社員・お客様・株主様・取引先など、会社を支え、育ててくれた多くの人々のお陰だと思います。スピードとフットワークの良さが私の取柄ですが、更に嘘をつかないこと、時間を守ること、約束を守ることを信条としてきた結果が、良き縁、良き運をもたらしてくれたのだと思っています。

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