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社長通信

第321号 嘘

2014年12月号

 「折れた煙草の吸いがらであなたの嘘がわかるのよ……」で始まる中条きよしの歌が流行ったのは40年前。
 女たらしがあの手この手で女性を口説き、彼女はすっかり惚れてしまいます。ところが男がタバコを揉み消す時の、その折り方で新しい女の出現にピンとくるという、女性の哀感を唄った歌です。異性を愛してしまうと、それほどまでに、相手の挙動を研ぎ澄まされた神経で観察できるようになるものなのです。
 さて、先月亡くなった高倉健は、不器用さを演技に生かした大俳優でした。83歳の死は、今の時代では早世で、惜しい人を亡くしたものです。昨年、映画館で彼主演の「あなたへ」を、先日は、テレビで追悼上映された「幸福の黄色いハンカチ」を見ました。50年ほど前には、彼が主演のヤクザ映画を見た記憶もあります。映画の中では、彼は何時もストイックなまでに、自分を殺し、寡黙で、女性を口説くことも出来ない役柄が多いようでした。嘘の付けない、真面目で不器用な男の役回りは、彼の性格そのものであった気がします。ところが、大体は女性から惚れられ、結ばれ、ハッピーエンドに終わっています。彼の方から女性を捨てる役柄は、記憶にありません。
 役柄と同じように、私生活でも自分に厳しい人であったようです。その厳しさをスクリーンでも感じさせる反面、誰にも愛情を持って接した男であったといいます。
 彼は、昭和34年に江利チエミという大女優と結婚しましたが、12年後に別れました。それは、彼女の家族に関わる問題ゆえ、彼女の方から離婚を言い出し、別れることになったそうですが、その後、生涯独身を貫きました。江利チエミは45歳の時に、脳溢血で亡くなりましたが、彼は、命日には必ずお墓参りに行く律儀な人だったそうです。
 この二人は、役者でしたので、そのキャラクターは、映画やテレビで作られたものだとは思いますが、高倉健はシリアスな役柄が痺れるほど嵌っているので、コメディーはどうも似合いません。実際の性格と役柄にそれほどギャップがあるように思えないのです。自分の性格に合わない役は、自分に嘘をついて演じる訳ですから、迫真の演技とはいかないのではないでしょうか。
 嘘と言えば、世の中、特に政治の世界で嘘がまかり通っているのは嘆かわしいことです。
2年前の民主党の野田政権時代、現政権の安倍首相が、当時野党だった自民党の総裁として、野田首相と党首討論をしました。野田首相が「国会議員の定数削減を必ずやると約束してくれるなら、解散しましょう」と言うと、それに対して、安倍総裁は「来年の通常国会でしっかりやっていくと、この場で約束する」と公言しました。その結果、衆議院は解散総選挙となり、自民党が政権に返り咲きました。
 ところが、0増5減をしただけで、何ら定数削減の議論さえすることなく、意味のない解散を行い、今回の総選挙となったわけです。
 この社長通信が発行される時には、選挙の結果が出ていると思いますが、自民公明の連立政権が続いていることでしょう。野田さんは、かの討論でまんまと安倍さんに騙された訳ですが、あの時の追求が演技だったとすれば安倍総裁は大役者です。しかしながら、与野党とも、定数削減は国民向けの人気取りのジェスチャーであって、本音は減らしたくないのですから、定数削減を声高に言っている政党は、嘘を言っているとしか思えません。建前は定数削減、本音は現状のままと言うことでしょうか。また、国民にしても、定数削減なんかより、今日・明日の生活が大変で、景気を良くしてくれるのは自民党しかなさそうと考え、自民党を選ばざるを得ないのが実状でしょう。民主党政権時代に鳩山、管、野田とパッとしない総理が3人も続き、日本の経済はガタガタになったのですから、まだ安倍さんの方が〝まし〟という結果になるのは目に見えて明らかです。
 しかし、この年末の解散総選挙はいかがなものでしょうか。かつて、与党は12月に野党から解散を迫られると、予算の大枠を決める大事な時期だから、政治は一刻の停滞も許されないと逃げていたはずです。つまり、12月24日に予算を閣議決定し、急いで国会審議をしないと4月から1円のお金も使えなくなるのです。今回は、大事な閣議を14日以降に新しく就任した大臣によって開催するわけですが、就任1週間も経たない大臣に何が分かると言うのでしょうか。しかし、日本は財務省を初めとして「役人」がしっかりしているから、安心と言えば安心なのですが、これで本当に良いのでしょうか。

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