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社長通信

第333号 イスラム国

2015年12月号

先月キリスト教徒が忌む日とされる13日の金曜日起こったパリの同時多発テロ。シリア・イラクの過激派組織「イスラム国」の支配地域(人口800万人とされる)への空爆に対するイスラム教原理主義テロリストによる報復である。そしてそのテロリスト達がシリアやイラク人から来た若者ばかりではなく、フランスやベルギー生まれの、それらの国籍を持つ若者が多数含まれていることです。彼らはインターネットによる巧みな宣伝によって「イスラム国」に忠誠を誓う過激な思想に染まっています。過激思想に染まったイスラム教原理主義者は世界各国に数百、数千人単位で存在し、シリア・イラクにいる兵士は五万人とも言われます。その戦闘に使う武器はロシア人を主とする武器商人が無尽蔵に供給しています。
 「イスラム国」は犯行声明で、自分たちを攻撃する国や攻撃を支援する国を現代の十字軍と決めつけ、攻撃のターゲットにすると言明しています。十字軍は中世の1096年に、西ヨーロッパ(神聖ローマ帝国)のキリスト教徒(カソリック)諸国のうち、フランス王国を主に組織されました。聖地エルサレムをイスラム教国から奪還するための遠征軍ですが、200年間に8回も遠征したのに、奪還しても取り返され、また遠征の繰り返し。遠征軍である十字軍の異教徒に対する殺戮は凄まじく、イスラム兵士は勿論のこと、女・子供も「神の名において」殺されたり、拉致されました。「イスラム国」過激派がテロを行う時、「アッラーは偉大なり」と唱えるのと同じスタンスです。どちらも良心の呵責から逃れるために、責任を神に押し付けているかのようです。
 果たして、どちらの神が正義なのでしょうか。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など一神教は、イスラエルのエルサレムをそれぞれの聖地としています。
 紀元前1000年ころ、初代イスラエル王・ダビデ王がエルサレム神殿を建てた場所が聖地とされ、今も残る神殿の外壁が「嘆きの壁」として、ユダヤ教徒が壁に額を擦り付け祈っています。キリスト教は、紀元30年ころ、イエス・キリストが処刑され復活したとされる場所を聖地としています。またイスラム教のムハンマド(マホメット)がサウジアラビアのメッカ、カアバ神殿から一夜のうちにエルサレム神殿まで移り、そこから昇天したとされる場所がイスラム教の聖地とされ、それらの聖地がエルサレムの旧市街地の一角に隣接しているから争いが絶えないのです。
これら三大宗教の始祖とされるのが、旧約聖書に登場するアブラハム。彼はユダヤ教ではイスラエル族、イスラム教ではアラブ族とされます。因みにイエス・キリストはユダヤ人で、キリスト教はユダヤ教を母体として生まれました。彼らは天の啓示を受け、天地創造の「神」を唯一の神として信ぜよと説き、何れの宗教からもアブラハムは「信仰の父」として崇められています。
 宗教は人間を苦しみから開放し、幸せにすることが目的でなければならないと思います。従って、宗教・宗派を超えて人間同志が慈しむ合うことが大切です。ところが、宗教の違いどころか、イスラム教では「イスラム国」と称する宗派を超えた新しい国を名乗り、勢力圏を増やしています。イスラム教にはムハンマド死後より、宗教と政治の両面で率いる指導者カリフ(後継者)制が存在しましたが、オスマン帝国崩壊後カリフ制は廃止になりました。カソリックには信仰の中心にローマ法王がいて、信者の信仰の支えになっていますが、イスラムには長らくその存在が無かったのです。昨年七月、自分をカリフと名乗るバグダーディーが「イスラム国(IS)」と称するカリフ制国家設立を宣言し、ISへの移住をインターネットで呼びかけたのです。
 キリスト教対イスラム教は、元々欧米人対アラブ人の対立であり、それは文明国対途上国の対立に見えます。その根っこには白人のアラブ人に対する根強い蔑視があるのではないかと思うのです。ISにヨーロッパ大陸のアラブ人が大勢参加しているのを見るにつけ、先進文明国と称する欧米がアラブ地域から石油や天然ガス等の富を収奪し発展したのに対し、自分たちは仕事もなく貧しいままであることに対する憤懣のはけ口として、過激なテロに走っているのではないでしょうか。最近、アメリカのカルフォルニアで起こった銃乱射事件もパキスタン人が犯人でした。
 これらのテロとは、仕事もなく食べるに困る貧しい生活を強いられている人々の、平和な世界で人生を謳歌している人々への攻撃ではないでしょうか。彼らは全世界をイスラム化し、富を平等に分配する世界を作らねば平和は来ないと考えているように思います。

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