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社長通信

第341号 イスラム

2016年08月号

「イスラム国(IS)」の無差別テロによって、平和ボケのEUがすっかり危険地帯となりました。2010年から2012年に掛けて中東で始まった「アラブの春」と呼ばれる反政府デモ。最初はチュニジアのジャスミン革命から始まったデモは、アラブ世界の独裁政権を次々に倒すドミノ現象のきっかけとなりました。  
 アラブの国々はイラン革命まで、王制による独裁政権が殆どでした。トルコ等表向きは共和制の国もありますが、何処も独裁に近い体制です。第一次世界大戦終了後、戦勝国である英仏はトルコ人が支配していた広大なオスマン帝国の地を、そこに住む人たちの人種、宗教、言語は勿論のこと、地形も考えずにそれまで国境の概念の無かった中東地域に、砂漠に指で線を引くかの如く、線を引いて国境とし、分割し植民地として支配するようになったのが、今日の混乱の根本原因です。彼らの多くは、アラビア語を話し、イスラーム(教)を信じ、遊牧生活をしながら中東全域を生活圏としていたのです。国境など無かったのです。    
 第一次大戦では日英同盟のお陰で日本は戦勝国となり、ドイツが中国に持っていた権益の多くを頂戴することになりました。同盟とは同盟国が2カ国以上と戦争をした場合、自動的に参戦しなければならないのです。第一次大戦は遠くヨーロッパでの戦争ですから、日本は中国駐留のドイツ軍と戦うことになりましたが、赤子の手を捻るように日本はドイツの権益を手に入れました。    
 第二次大戦後結ばれた日米安保条約は、いつの間にか日米軍事同盟に変質しつつあります。同盟国アメリカが、何処か2カ国とドンパチすれば、日本も参戦する義務が生じます。戦場で死ぬのは若者。可愛い孫たちを自爆させるわけには参りません。安倍首相は、権限が肥大化したトルコの大統領のように強権を発揮していますが、それがテロやクーデターを招く原因になることを恐れます。
ドイツやフランスは経済発展に伴い、人手不足を補うために中東から労働者として移民を受け入れました。白人は有色民族を自分たちより劣る人種として見做しています。移民たちは、その子供たちに十分な教育を受けさせる収入がなかった家庭が多かったのです。そして、世界的な不況。失業者の多くは移民の二世、三世です。彼らの怒りの先は自分たちを受け入れない新自由主義社会に対してかもしれません。 
 ISIL(イスラム国)と自称するテロ集団を生んだ原因は、貧富の差そのものではないでしょうか。彼らはイスラーム(教)の下に、部族社会を作り、統制の取れた組織として共存共生を1000年以上続けてきたのです。何でもインシャーラー(神の思召しのままに)で済んでしまう社会―よく言えば何でも許される寛容な社会と言えます。   
 西欧の価値観は民主主義に基づく社会です。信教の自由も保証されねばなりません。ところが定住をしないキャラバン隊であるとか、遊牧民であるとかの団体行動を主とする民族は、勝手な行動をする輩がいるとグループの統制が取れません。必ず強力なリーダーが必要です。しかし、規律を保つためリーダーは何らかの掟に基づく支配が必要です。それが唯一の神アッラーに絶対服従を強制するイスラーム法(イスラームの戒律)です。
 イスラームに入信した人をムスリムと言います。一度入信すると、絶対辞められません。辞めるとイランなど、国によっては死刑です。イスラームにはお坊さんはいませんが、イスラム法を解釈し、教える人はいます。その教えに背くことは即アッラーに背くことになる訳ですから、自爆せよと言われた人は、自爆によって神の下に行くことになります。 
 フランスの公立学校では、ムスリムの宗教的シンボルであるヒジャブ(頭に被る布)の着用を禁止していますが、イスラームは政教一致が原則です。イスラームの信者が多い国は、ほぼイスラーム法が憲法や法律と言えます。豚を食べるなと食べ物まで規制していますが、元々豚は雑食で汚いし、生肉は病気を持っていることが多いのです。砂漠地帯では焼き肉が主たる料理で、生焼けもあることから豚肉を禁止したのだと思われます。更に、豚は、牛や羊のように放牧に向かないからかも。 
 豚が駄目なのはユダヤ教徒も一緒で、二男の所に昨年の9月からホームステイして早稲田大学国際教養学部に学んでいるユダヤ系アメリカ人女学生が居ました。約1年の留学を終え、去る8月1日に帰国しましたが、その間の食材にイスラームと同じように、豚や豚の加工品を使えないので、嫁は大変だったようです。  

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